今の世の中、スマホやガラケーは1人1台の時代。携帯電話があれば無線機は使わなくてもいいと思われがちですが、業務で無線機を使っているシーンは以外に多いんです。で
は、いったいどんな違いがあるのでしょう。
一番違うのは、1対1の通話ではなく、1対大人数の通話ができること。無線機は、通話する人同士でチャンネルを合わせていれば、ボタン1つで全員に話しかけることができます。1人だけと通話したいときはその人とだけ会話するチャンネルを使えばいいだけ。無線機の種類によってグループ呼び出しや個別呼び出し機能が付いている場合もあります。
使用する無線機が発する電波の強さによって通話範囲が限られることがありますが、中継器を利用すれば携帯電話で圏外になるような環境でも、無線機で連絡を取ることが可能です。携帯電話よりも利用エリアが限られることはありますが、用途に合わせて機材を設置すれば広範囲で利用することも可能です。
では、トランシーバー・IP無線機などの無線機と携帯電話のそれぞれの特徴について、具体的な例を挙げて説明しましょう。
無線機の最大の特徴は、一度に大人数へ簡単な操作(ワンプッシュ)で音声情報を伝えられること。通話料金がかからないことも大きなメリットでしょう。チームで何か物事にあたるときの情報手段として最も有用です。イベントや店舗で使われていると、客側からするとスムーズな運営に力を入れている印象を与えます。
▼トランシーバーの特徴
◎携帯電話の電波が届かないような場所でも連絡が取れる
×遠距離の情報発信には向かない
×利用環境によって通話が途切れることがある
▼IP無線機の特徴
◎全国どこでも通話料金を気にせずに一斉連絡できる
×携帯電話の電波が届かないエリアでは使えない
▼携帯電話の特徴
◎無線機を利用しなくても全国対応で1対1の連絡ができる
×全員に連絡するときの操作が煩雑
×通話料金が発生する"
ここ数年、無線機メーカーではなく携帯電話の会社が無線機器製品の開発を手がけているケースが見受けられます。
従来の無線機では、無線基地局を使って遠距離通信を実現していましたが、携帯電話会社が作った無線機では携帯電話網を活用して遠距離通信を実現しています。ソフトバンクの回線を例に挙げると、無線機器がソフトバンクの3G電話網を使えば(IP無線機専用の回線プランもある)、免許の申請などにかかる時間や面倒が一切必要ありません。国内カバー率99%を誇っているので通話エリアを気にせず全国一斉に一度に連絡を取ることも可能になりました。
最近IP無線機が増えている理由としては、2018年に国内利用のMCA無線の完全デジタル化や周波数帯の変更が予定されていて、それまでの移行促進措置として、各社で新たな商品の開発が進んでいるといった事情も背景にあります。