
無線機にはアナログ無線機とデジタル無線機があり、もうすぐアナログ無線機の方は使用できなくなります。現在アナログ無線機を使用しているなら、今のうちにデジタル無線機へ移行しなければなりません。
本記事では、デジタル無線機の特徴や、アナログ無線機からの移行方法について解説していきます。
デジタル無線機をアナログ無線機と比べた場合の特徴について見ていきましょう。
アナログ無線機の電波の飛ばし方では、送受信するデータの容量が大きいと、それだけ負担もかかりやすくなります。これに対してデジタル無線機の電波の飛ばし方なら、データを圧縮して効率良く飛ばせるのが特徴です。そのため、大容量の通信を行う際にも、負担を抑えられます。
無線機で電波を飛ばす際には周波数帯を専有しますが、デジタル無線機はアナログ無線機よりも少ない周波数帯域で済むのが特徴です。デジタル無線機なら周波数帯を有効に使えるということで、アナログ無線機からの移行が進められています。
アナログ無線機だと、通信を行う場所や環境によっては雑音が入ることもあるでしょう。しかし、デジタル無線機なら雑音は入りません。相手の声が非常にクリアに聞こえます。
デジタル無線機は、秘話機能を利用できる機種もあります。秘話機能というのは、あらかじめユーザーコードや秘話コードなどを設定した上で通信を行える機能のことです。これにより、コードを共有している相手とのみ通信が可能で、第三者による盗聴や傍受を防止できます。
現在アナログ無線機を使用している会社でデジタル無線機へ移行する際には、総合通信局で手続きが必要です。では、どのような手続きを行えばいいのか見ていきましょう。
デジタル無線機へ移行する際には、現在使用しているアナログ無線機からデジタル無線機に買い替えるケースが多いでしょう。その場合には、アナログ無線機の廃止申請とデジタル無線機の免許申請の両方を行わなければなりません。
また、デュアル方式でデジタルでもアナログでも使用できるタイプの無線機もあります。現在そのような無線機を使用しているなら、移行後も同じ無線機を使用可能です。ただし、アナログ電波を発射しないように改修した上で、無線局の変更申請を行う必要があります。
デジタル無線機は免許局と登録局の2種類に大別できます。外見はほとんど違いませんが、用途や使用する際の申請手続きなどが異なり、互換性もないため注意が必要です。
また、海外製のデジタル無線機に買い替える場合には、技術基準適合証明等のマークが付いているかどうか確認しておきましょう。このマークが付いている無線機でないと、日本国内で使用することはできません。
申請手続きは免許申請の場合には、デジタル無線機1台単位で行わなければなりません。4,250円の手数料が台数分だけかかります。
これに対して、登録申請の場合には台数は関係なく、法人などの団体単位で申請を行う仕組みで、その手数料は1団体で2,900円です。
また、アナログ無線機の廃止申請と、デュアル方式の無線機を使用する場合に行う無線局の変更申請に関しての費用はかかりません。
アナログ無線機を使用できるのは2024年11月30日までです。それ以降はデジタル無線機のみ使用できます。もともとは2022年11月30日までの予定でしたが新型コロナウイルスの影響を考慮して2年延長されました。
もし、期限までに手続きを済ませていないと、無線機を使用できない期間ができてしまうため注意しましょう。
また、手続きを行ってから処理が完了するまで通常4週間程度かかります。申請が殺到すると、もっと長くかかることもあるかもしれません。そのため、なるべく早めにデジタル無線機への移行手続きを済ませておくのが望ましいです。
なお、使用できなくなる無線機は免許局のUHF帯350MHz帯(348.5625MHz~348.8MHzの「小 エリア簡易無線局」)及び400MHz帯(465.0375~465.15MHz、468.55MHz~468.85MHz)です。免許局のVHF帯、登録局は問題なくお使いいただけます。
デジタル無線機の活用例とよく使われる機種について紹介していきます。
イベントでは距離の離れたスタッフ同士が情報をやり取りするため、デジタル無線機がよく使われています。「TCP-D551」なら小型で扱いやすく、イベントでの使用例が多いです。
屋外警備では雨天時や砂埃などが舞う環境でも使用できるように防水防塵機能が付いているデジタル無線機がよく使われます。「GDR4800」なら短時間でも水没しても故障しないほどの防水性能で、屋外警備におすすめです。
介護施設では、送迎車と施設内との連絡や施設内で離れた場所にいる職員同士での連絡などでデジタル無線機が使われます。「IP500H」ならIP無線機なので、長距離の通信も対応しており介護施設での使用におすすめです。同系列の介護施設や法人本部に設置して、緊急連絡などに使用することもできます。
デジタル無線機は、少ない周波数帯域で使用できて、電波という有限な資源を有効活用できるのが特徴です。その上、通信がスムーズに行えて雑音も入りません。アナログ無線機と比べて、メリットが大きいといえます。
また、2024年12月1日移行にはアナログ無線機が使用できなくなります。現在アナログ無線機を使用している場合には、それまでにデジタル無線機への移行手続きを済ませておきましょう。